近年のラップブームで韻というものがより身近になり、皆さんも韻を考える機会が増えて来たのではないでしょうか?

 

韻の踏み方に関しては以前記事にしましたが、今回はそのちょっと先のお話を一つ。

 

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なぜ韻を踏むのか?

これヒップホップを聴いてる人なら盲目的に、「ヒップホップはそういうもの」として受け入れてる人が多いのではないでしょうか。

 

かくいう著者も子供の頃にヒップホップと出会ってしばらくは「そういうもの」として思考停止で受け入れていました。

 

しかし、学生時代に広告研究の授業を受けた際に、

 

「有名な企業のキャッチコピーやCMのフレーズは韻を踏んでいるものが多い。何故なら韻を踏む事によってリズムが生まれその言葉がより強烈に頭に刷り込まれるから」と教えられ、韻を踏むことの意味を知りました。

 

 

具体例を挙げます。

 

セブンイレブンいい気

 

“ぶん”(un)で踏んでいますね

 

インテル入ってる

 

“てる”(eu)で踏んでいます。

 

 

ちなみにintelの英語版のキャッチコピーは・・・

 

intel inside

 

“in”の頭韻ですね。

 

韻を踏むと文章にリズムが生まれる。

 

このリズムこそがただの文章を詩へと昇華させるんです。

 

何故ヒップホップで韻を踏むのか?

 

答えは韻を踏む事によってリズムが生まれるからです。

 

「有名な企業のキャッチコピーやCMのフレーズは韻を踏んでいるものが多い。何故なら韻を踏む事によってリズムが生まれその言葉がより強烈に頭に刷り込まれるから」

 

先の大学講師の教えです。

 

これをラップとリンクさせると、

 

「ラッパーが伝えたいことをより強くリスナーの耳に残すための手法」

 

このように考えることも出来るでしょう。

 

ただし、韻を踏まなくてもリズム感を生み出すことは可能ですし、そういうラッパーもいますので必ずしも韻を踏むことだけがヒップホップではないです。

 

 

ループミュージックであるという事を意識する

ヒップホップは基本的に同じ音のループの上に言葉を乗せていきます。

 

「韻を踏むことでリズムが生まれる」と前述しましたが、これは「同じことの繰り返しはリズムを生む」と言い換えることが出来ます。

 

一定の音を繰り返すループ。

 

そこに同じ母音の言葉を小節の同じ部分に配置する事により、ループ感がより強化されそれが所謂グルーヴと呼ばれるものになっていくのです。

 

一定の音の繰り返しに歌なりラップなりが乗っているのに、それに反して毎回違う箇所で韻を踏んでしまうとあまり良いグルーヴにはならないのです。

 

ただし、同じことを繰り返しすぎると今度は退屈な印象を与えてしまうため、ときにはアクセントとなる変化も必要です。

 

 

文章≠リリック

リリックの作り方なんですが言いたいことをただ並べるだけではそれはリリックとは言えません。

 

何故かと言うと、曲は小節の積み重ねで成り立っていて1小節には4つの拍(4拍子の場合)があるので、

 

その拍にうまく言葉が乗らないと音として気持ちよく聞こえないからです。

 

拍にうまく言葉を乗せる、韻を踏むよりもまずこれがラップの第一歩と言えます。

 

1つの拍に乗せられる文字数は日本語の場合3~5文字程度です。フロウの仕方などでこの辺は変わるのですが話がややこしくなるので、割礼もとい割愛させていただきます。

 

手を同じリズムでパンパン4回叩きながら、

 

隣の/客は/よく柿喰う/客だ

隣の/客は/柿喰う/客だ

 

と声に出してみてください。

 

恐らく後者の方が収まりがいいハズです。

 

上の方は3拍目が文字数多くて字余りになってしまうか、無理やり収めようとしても早口になるかのどっちかだと思います。

 

こんな感じで思いついた言葉をうまく足し引きしたり同じ意味の別の言葉に置き換えたりすることによって、うまく小節に収めることが可能になり、ただの文章がようやくラップのリリックとしての歩みを始める訳ですね。

 

では、以上の3つのポイントを踏まえた上でラップのリリックを考えていきましょう。

 

  • なるべく同じ位置に韻を配置する
  • 小節にうまく言葉を収める

 

この2つを意識して簡単にリリックを考えてみます。

 

この文章を書いているのが7月なので「7月・しちがつ・iiau」というお題で日本語ラップの基本とも言える4文字踏みをやってみましょう。

 

気付けば/半分/過ぎた/7月

どこにも/行かない/夏に/意味ある?

家から/出ないと/なるよ/死にたく

出掛ける/ためには/まずは/身支度

 

4小節踏んでみました、意味も通ってるし拍に収まってるしちゃんとケツで踏めてますね。

 

しかし、これを実際に声に出してみると分かるのですが、3~4小節目あたりでダラダラ感が出てメリハリがあまり無いんですね。とても単調。

 

セクション2でループ感は大事だけど単調にならないためにところどころで変化が必要、と前述しました。

 

少し変化を付けて書き直してみましょう。

 

気付けば/半分/過ぎた/7月

どこにも/行かない/夏に/意味ある?

まずは/身支度/金を/引き出す

派手な/海パン/穿いて/いきがる

 

3小節目の2拍目にも韻を置いてみました。

 

最初のやつよりも少しメリハリがついたような気がしませんか?

 

これはあくまで一例で、3拍目4拍目で連発で踏んだり、4拍目で踏んだ韻を次の小節の1拍目で連発で踏むのもリズムに変化が生まれて面白いと思いますし、その辺は個人の好みや実際に発声した時の響きの気持ちよさで決めるといいでしょう。

 

これは全体として小節の最後で踏む等大きなルールは守りつつも細かい部分で変化を付けるというやり方ですが、こうしたメリハリによってリリックを読み進めてもダレることなく尚且つ変化させた部分の次の韻は強調されるというオマケ付きです。

 

リリックを作る時に是非このテクニックを参考にしてみてください。

 

リリックを書く際の参考になるアーティスト

ここまで色々と偉そうに書いて来ましたが、何よりも近道なのがプロのアーティストのリリックの書き方を真似すること。

 

ということで、リリックを作る時に非常に参考になるアーティストを何組か紹介しようと思います。

 

キングギドラ及びZEEBRA,K DUB SHINE両名のソロ作品

日本語を日本語的発音で韻を踏ませたら右に出るものはいないくらいこの2人は上手過ぎます。

 

特にZEEBRAのOriginal Rhyme AnimalとBased on true storyは全曲教科書になり得るリリックです。

 

KICK THE CAN CREW

3人ともしっかりと意味を通しつつ長めの韻を踏むのが上手いです。

 

かつてメジャーシーンを賑わせただけあって分かりやすさがバツグンです。

 

特にSayonara Sayonaraは3人ともライミングが神がかっています。

 

ZORN

最近の押韻巧者と言えば忘れる訳にはいかないのがこの人。

 

ZORN名義になってから日常的な言葉でライムする事が増えたZORN。

 

この言葉でこう踏むのかー!と感心させられる事がとても多いです。

 

100 RemixのZORNバースは同曲に参加してる他のラッパーと比べるとガッチリとした硬い韻の安心感が素晴らしいので要チェック。

 

参考になる書籍

前述した3組のラッパーはそれぞれタイプも違いますが、リリックを書く際に非常にお手本にしやすい3組だと思います。

 

リリックをチェックしてどこでどう踏んでるのかを研究してみるといいかもしれません。

 

また、ラッパーがどうやってリリックを書いているのかを実際に取材してまとめた「ラップのことば」(著 猪又孝)という本もあります。

 

ラップのことば2」と合わせると、総勢30名のラッパーのリリックに対する姿勢やその書き方が記されている駆け出しラッパーのバイブル的な一冊。

 

こちらも要チェックです。

 

 

最後に

あくまで韻はリズムを生むための詩的表現の1つであって必ず踏まないといけないというルールはありません。

 

韻を踏む、踏まないのトピックは未だにラッパーの間でも論争を生むテーマの1つでもあります。

 

Mummy-Dは以前ラジオ番組で他の部分でリズムを作れていれば踏む必要ないと言っていますし、FORKは韻を踏むのはマナーだとバトルの中で言っていますので、考え方も本当に人それぞれです。

 

韻にとらわれ過ぎてリリックがダサくなるというのは往々にして起こる事態なので、あくまでリリックをより良くするために韻を踏むというのは忘れてはいけないポイントだと思います。

 

酒を飲んでも飲まれてはいけないように、韻も踏んでも踏まれないように気を付けてナイスな押韻ライフ、ナイスな作詞ライフを過ごしましょう。

 

 

寄稿者:NINJA ICE COLD