HIKARI/jjj

 

Fla$hBackS(以下FB)のMC兼DJ兼トラックメイカーであり、FB以外でも多くのラッパーへの楽曲提供やプロデュースを行い、最近ではベストプロデューサーとして名前が上がることも少なくないjjjの2年半ぶりのセカンドソロアルバム。

 

先行リリースされたBABE feat鋼田テフロンからスタートするこのアルバムは、全体を通して音数が少ないながらもしっかりとjjj節の効いたビートが使われており、前作よりも更に洗練された印象を受けます。

 

BABEや5LACKを客演に迎えたHPN、FB集合となった2024等の耳当たりの良い楽曲もバランスよく配置されていて、尚且つDJANGOのような個人的な趣味を突き詰めたような楽曲も入っており全編通して中だるみせずに最後まで聴くことができますね。

 

その中でもやはりFBの名曲2014の続編的位置付けの2024はFB集合ということもあって一際注目すべき楽曲となっています。

 

Kid FresinoとFebbのイザコザ(詳細は割愛、個人的見解ではビーフではない)もあり2024が最後のFB集合となってしまいそうなのが非常に残念。(2024でのFebbのバースが最近のFebbの中でも一番キレキレなのが余計切なさを演出していますね)

 

オススメ曲:ORANGE feat.STICKY2024 feat.Fla$hBackS

 

 

Mood Blue/IO

 

KandyTown(以下KT)1の色男IOの1年ぶりのセカンドソロアルバム。

 

プロデューサー陣は前作よりもKT,BCDMG色の濃いものとなっており、その影響もあってか前作よりもアルバムとしての一貫性が強く、持ち前のクールさ残しつつもsoul long より更にエモーショナルな楽曲が増えています。

 

トラックはお得意の往年のソウルやディスコものが目立ち、客演陣もKT周辺を軸に実力派を揃えていてなかなか隙のないアルバムになっている印象です。

 

タイトル曲Mood Blue、先行リリースのNotis等の曲で始まりAnarchy客演のThis Time、Zeus客演のFeel My Minuteで大きな山場を迎える今作はこの2曲が特に素晴らしく、それ以降の楽曲が余談に感じてしまうほど。(後半の曲も素晴らしいです)

 

特にThis Timeはみんなの大好きな「あのAnarchy」が帰ってきた感じなのであれを引き出しただけでも5億点あげちゃう!って感じですね。

 

2017年は今のところKTからDony Joint、MUDもソロ作品をリリースしていずれも良盤ですが、やはりIOが頭一つ抜けている印象はあります。

 

オススメ曲:This Time feat.Anarchy Feel my minute feat.Zeus

 

 

 

MARS ICE HOUSE/ゆるふわギャング

 

間違いなく2017上半期の台風の目。去年の秋くらいから良く名前を目にするようになり、「気付いたらスターダムを超ダッシュで登っていた」という印象。

 

Ryugo IshidaとSophieeそしてビートメイカーのAutomaticからなるヒップホップユニット(実際に表にゆるふわギャングとして出るのはRyugo IshidaとSophieeの2人)。

 

クラウドファウンディングで資金を募って制作されたというこのアルバム。

 

前半と後半で色が変わり、前半はヒップホップユニットゆるふわギャングとしての言葉遊び音遊び全開といった内容になっていて、後半はよりパーソナルで生身の2人(2人は実際にカップル)に直接触れているような内容のアルバムになっています。

 

シンプルながらストレートに核心を突くRyugoIshidaのリリックと、独特のワードセンスで時に聴き手をドキッとさせるSophieeのリリックのバランスが心地良く、アルバムの全体を通して展開されており、最後までアルバムを聴けば2人の音楽性だけでなく人となりまで伝わってくるとても良いアルバムに仕上がっています。

 

Fuckin carでRyugoが「I got fuckin car」と歌うのをSophieeが「We got fuckin car」と2回繰り返して訂正するところが個人的にニヤニヤ出来て好きなラインです。

 

後述のSALUのアルバムにも客演で参加しており間違いなく2017年上半期に爪痕を残したアーティストの1つだと思います。

 

オススメ曲:Sad But Good , Stranger

 

 

OFF THE WALL/JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB

 

2014年結成BAOBAB MC,ROVIN,NOLOV,ASHTRAYの4MCからなるヒップホップユニット。

 

語弊を恐れず端的にまとめるとすれば「メジャーデビュー以降のRIPの曲をインディー時代のRIPがやったとしたらこうなりそうだよね」っていう印象の2ndアルバム。

 

本人たちもインタビュー等でRIP SLYME,KICK THE CAN CREW,Dragon Ashらから大きく影響を受けていると言っている通り、2000年代初頭のポップチャートを賑わせた「あの感じ」を色濃く自分たちの曲に反映させています。

 

2ndを先に聴いて1st後追いで聴いたのですが、1stの方が狙い過ぎてる感があって、今作の方がより自由に本人たちの初期衝動がしっかり反映されているのではないかという感想です。

 

4人のMCとしてのタイプの違い、2000年代初頭のサウンドを決して古臭さを感じさせずに2017年にチューンアップしている点、ネームドロップ多めのリリックのワードセンスも媚び過ぎていない丁度いい匙加減のポップセンスがとにかくバランスの良いグループだなと思います。

 

オススメ曲にあげている「STAYGOLD,LIFE GOES ON」(タイトルからしていかにも!)は特にこのグループの魅力が詰まってる一曲です、必聴。

 

オススメ曲:STAY GOLD LIFE,GOES ON

 

 

INDIGO/SALU

 

INDIGO=藍→愛をテーマにしたSALU4枚目のアルバム。

 

とにかくSALUは引き出しが多いんですが、その引き出しの多さを遺憾なく発揮していますね。

 

一貫して愛をテーマにしているものの恋人、家族、友人、現代社会、人工知能にまでそのトピックは及びます。

 

このアルバムの凄さはまず捨て曲の無さ、1曲1曲丁寧にレビューしたいくらいに1曲ごとのクオリティが素晴らしく、前述したようにトピックは多岐に及ぶものの愛を一貫したテーマに据えているせいかアルバム全体としてのまとまりが凄く良いものとなっています。

 

あーSALUっぽい!と思わせながらもしっかり2017のシーン向けにアップデートされた「WALK THIS WAY」から始まり、2曲目で上半期最後のバズを掻っ攫っていった感のあるLIFE STYLEが登場しますが、ある意味この曲は客演の2人がごっそり持っていった感がありますね。

 

シティポップ調の曲も挟みつつ、当時シーンから行方をくらませていた(現在は復活)親友のRYKEYに向けた「Dear my friend」(号泣メーン)や女子ファン失神必至の「first date」へとつながって行きます。

 

後半の山場とも言えるのは上半期台風の目ゆるふわギャングを客演に迎えた「夜に失くす」S.R.MOYのkidsを大胆にサンプリングした4つ打ちのトラックでゆるふわに大分寄せたように見えますが軽やかなフロウでしっかり乗りこなし、しっかり自分の曲に仕立て上げるSALU、ここでも引き出しの豊富さが目立ちます。

 

先行でMVが公開されていた「YEDI」は、フィジカル版では未収録ですが、itunes版のアルバムにアルバム購入特典として収録されています。

 

オススメ曲:LifeStyle , Dear my friend , 夜に失くす

 

 

 

 

総括

ゆるふわのアルバムを聴いた時は、こりゃあ年間ベストすらあるぞと思ったのですが、ゆるふわギャングを早速自分のアルバムに呼んだり、JP THE WAVYの#超WAVYでごめんね のremixに参加したりとにかくスピード感が素晴らしかったSALUが上半期のMVPと言っても良いのではないでしょうか。

 

全体的な印象としては、USの曲をそのままトラックもラップも完コピしたようなタイプよりも流行を取り入れつつ、しっかりオリジナルなテイストを出せたラッパー、ラップグループがラップゲームを制したという印象です。

 

とりあえず個人的な好みもかなりありつつ、5枚絞りましたが、レビューしたいアーティストもまだまだいますので、また別の記事でまとめさせてもらえたらと思います。

 

寄稿者:NINJA ICE COLD