???=言い回し

現在、とんちの効いた巧い言い回しをラップに組み込むスタイルが流行の兆しを見せている。

 

第11回高校生ラップ選手権の優勝者9forなんかはそのスタイルの先駆者と言えるだろう。

 

ベテランで言えばR-指定も最近は好んでそういった表現を用いている。

 

大枠で言うとinferioも同じスタイルに分類されるのだが、彼のスタイルには他と決定的に違う点が一つある。

 

それは、巧い言い回しをメインウエポンとしていることである。

 

1バースに最低1ラインはダブルミーニングや比喩表現を用いたパンチラインを出すことで、それを自身のメインウェポンとしているのだ。

 

日本語の妙を巧みに操るパンチライン

こちらの動画をご覧いただきたい。

 

 

お前は韻踏むの確かに上手い

けど会話が出来てない

テニスだったらラリーよりもスカッシュ

ライム絞っても弾けていく

 

がーどまんのことを“韻を踏むばかりで会話が出来ないMC”とし、それをテニスに例え次のように表現。

 

ラリー(球の打ち合い)=会話

スカッシュ(壁打ち)=会話が出来ていない

 

※厳密にはスカッシュは、壁の跳ね返りを利用して二人で球を打ち合う競技であるため、誤用なのだがそこはご愛嬌。

 

そして、韻を意味するライム果実のライムのダブルミーニング、前述した競技としてのスカッシュ飲み物のスカッシュのダブルミーニングに繋ぐ。

 

※ライムスカッシュ

 

 

さらに、同バース内のこちらのライン。

 

恥と汗はかけても 俺の寝首は掻けないようだ

 

“かく”という動詞のトリプルミーニングで締めている。

 

続く2バース目。

 

FORKが韻を踏むのはマナーって言ってた

それに乗っかって会話が出来ねぇ

フォーク 所詮はテーブルマナー

皿の上で踊っているMC

そんな奴とは違うとこ

ならばスプーンとナイフを用意しな

ナイフで首元刈る

用意したスプーンで足元掬う

 

がーどまんの「かざした刀は鞘にひかねぇ」というラインに対し、「抜いた刀をそっと収めるよ」のパンチラインが話題となったICE BAHNのFORKを引き合いに出す。

 

そして、FORKの「韻を踏むことはマナーだ」という発言も引き合いに出し、FORKと食器のフォークのダブルミーニングで、それをテーブルマナーと表現。

 

さらに、カラトリーの残りの二つであるナイフとスプーンを、その用途に合わせた比喩表現に用いるという超弩級パンチラインで締めているのだ。

 

※ナイフ、フォーク、スプーンの総称。

 

 

お次はこちらの動画。

 

 

An9RuleGran8(アンクルグランパ)所属のMC Reyとの一戦。

 

ラップはQ&Aの文化

愛(I)の無いQには

知能 IQが足りてないぜ

 

An9RuleGran8 アンクルは足首

俺の寝首を掻いてみなよ

 

こちらはMC Reyの所属クルーを文字ったもの。

 

さらに、3バース目のこちらのライン。

 

無料の広告 まるでACのよう

B-BOYのBが抜け落ちてるぞ

 

相手のことを公共広告を展開している公益社団法人の『AC』に例え、ローマ字だとAとCの間のBが抜け落ちていると表現しているのだ。

 

 

日本語の妙を巧みに操り繰り出されるパンチラインは、少しディレイがかかったのち、聴き手の耳にある種の“アハ体験”をもたらす。

 

 

主な戦績

  • U-22MCBATTLE 16人選抜 第三次審査会 優勝

 

音源ほか