モンスター卒業で総入れ替え

前回の放送で晋平太がラスボス般若を倒し、ダンジョン初の制覇者となりました。

 

そんな晴れ晴れしい功績を讃えると同時に、般若が今回の放送を最後にモンスターが卒業することを発表。

 

次回放送からはモンスターが総入れ替えになるということで、前回で番組としてはひと段落ついた形になりました。

 

というわけで、当サイトの独断と偏見で、過去放送回のチャレンジャー&モンスターのパンチラインを厳選!

 

パンチラインを紹介しながら、ダンジョンの歴史を振り返っていきます。

 

当記事で過去放送回の復習をして、新体制となるフリースタイルダンジョンを楽しみに待ちましょう。

 

 

※勝者は青枠内右下のMCネームの前に〇が付いているMCです。

 

Rec1

Rec1-1

 

Dragon One

一言で言うなら相当弱ぇ

見なかったなUMBの東京予選

―〇Dragon One vs T-Pablow

 

Dragon One対T-Pablowの一戦で、チャレンジャーのDragon Oneが、高校生ラップ選手権以降、バトルシーンに一切姿を見せていなかったT-Pablowに対して放った強烈なDIS。

 

 

 

ちなみにこの一戦が記念すべき第一戦目のバトルで、当時は有楽町にあるCLUB DIANAで収録が行われていました。

 

 

ステージもこんなに小さく、審査員の投票は今でこそボタン式ですが、当時はなんと手書きで行われていました。

 

そして、現在と最も違う点が賞金額。

 

実は当時は50万円だったんです。

 

今とは違う点も多く、この記事を書くために観直しているのですが、関係者でもないのに感慨深く思ってしまいました。

 

Rec1-2

 

LEON a.k.a.獅子

サイプレス上野細工なら消えろ

ギャグだけのピエロ

―LEON a.k.a.獅子 vs 〇サイプレス上野

 

このラインはROUND1で後攻を選んだLEONの入りのラインなのですが、細かい韻を多数散りばめてグルーヴを生む、LEONらしさが存分に出ています。

 

細かく説明すると、

 

“サイプ” “細工” “ギャグ”

 

これらが緩い頭韻となっており、

 

“上野(うえの)” “消えろ” “ピエロ”

 

これらが脚韻になっています。

 

さらに当時のサイプレス上野は、赤髪でいかにもピエロって感じの見た目でしたから、DISとしても的確なもの。

 

韻がすごいとか、上手いことを言うMCは多数いますが、ここまで聴き心地のいいグルーヴ感を演出出来るMCは珍しいでしょう。

 

 

 

漢a.k.a.GAMI

俺がMSC つまりはリアル

お前みたいなファンタジーな作り話で

ビビってる奴とは違ぇんだよ

―〇SALVADOR vs 漢a.k.a.GAMI

 

「ファンタジーな作り話でビビってる」という、言葉選びが秀逸なパンチラインですね。

 

リアルに生きている漢が言って初めて輝く表現かもしれません。

 

 

 

SALVADOR

俺がコイツに敵わない?

バカじゃない?

俺はそうジョーダンみたくI gotta high

―〇SALVADOR vs 漢a.k.a.GAMI

 

Rec 1-2のSALVADOR対漢a.k.a.GAMIのバトルの、漢の「お前がマイク持ってもマジで敵わない」というラインに対してのSALVADORのアンサーです。

 

このバトルは昭和と平成のジェネレーションギャップを体現したかのようなバトルで、SALVADORは怖いもの知らずのイケイケな若者といった感じ。

 

当時見ているこっちが冷や冷やしてしまったのを覚えています。

 

あの漢a.k.a.GAMI相手に「バカじゃない?」なんて言ってしまうんですからね。

 

しかも実際には「バカじゃない?」ではなく、「バカじゃない?www」ぐらいの勢いでしたからなおさらです。

 

SALVADORは、このいい意味で舐め腐った態度が審査員にも評価され、見事漢a.k.a.GAMIに勝利しました。

 

 

審査員のKEN THE 390もこの一言。

 

 

Rec1-3

T-Pablow

下げてるネックレスGIVENCHY

絶対に下げない頭と期待値

俺のスキルがピカイチ

てか俺誰にも媚び売りません

俺の媚びは非売品

―SALVADOR vs 〇T-Pablow

 

最後の「俺の媚びは非売品」がパンチラインですが、その前までの流れが重要なので全て記載させていただきました。

 

これはSALVADORに「そのGIVENCHYのネックレス寄こしな」と言われた際のアンサーです。

 

T-Pablowは相手の言葉を拾って韻を踏むだけじゃなく、同時にダブルミーニングなどの上手い言い回しをするのが得意です。

 

このバースでも、脚韻を踏みつつ「絶対に下げない頭と期待値」という、動作的な“下げる”と数値的な“下げる”を併せたダブルミーニングを含ませています。

 

最後の「媚びは非売品」は韻を踏まずとも、このワンフレーズだけでパンチラインと言っても過言ではないオシャレなパワーワードですが、こちらもしっかり韻を踏んでいます。

 

そして、このSALVADORとの一戦を皮切りに、高校生ラップ選手権に出場経験のあるチャレンジャーを倒すのはT-Pablowという、一種のジンクスのようなものが生まれることに。

 

 

 

この日の放送のLIVEコーナーにはGRAND MASTERのEGOが登場。

 

新曲「PINEAPPLE JUICE」を披露し、Twitterや2ch等で一躍話題に。

 

あれから2年近く経ちますが、あの印象的なフックは記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。

 

 

 

T-Pablow

俺ならばバトル後に行っちゃう

どっかホテル

相手ならばそう年上のモデル

―KOPERU vs 〇T-Pablow

 

またしてもT-Pablowのパンチラインです。

 

こちらはKOPERUの「お前とっとと帰って どっかのホテルでも行っとけ」というラインへのアンサー。

 

容姿の整ったT-Pablowだからこそ言える言葉で、且つT-Pablowが未成年で相手が年上という点も重要なポイントですね。

 

イケイケの人がイケイケなことを言ったときに起こる、あの独特な笑いが観客や審査員から沸き起こり、T-Pablowが見事KOPERUに勝利。

 

またこの直後の、

 

言われるんだよ「結構タイプ」

俺がRAPすればEminem 8Mile

 

というラインも直前のパンチラインを引き立てる、非常に綺麗な流れになっていました。

 

Rec 1-4

 

サイプレス上野

横浜・戸塚・ドリームランド

平塚どっちが田舎?

―HELL BELL vs 〇サイプレス上野

 

HELL BELL(元MC妖精)に「(横浜は)ちょっと影が薄いド田舎」とDISられたことに対してのアンサー。

 

THE正論といった感じのアンサーで、相手がおかしなことを言ったら絶対に見逃さないという、サイプレス上野の強さが存分に出たパンチラインです。

 

バトルを観ている側としても、MCが矛盾していることやおかしなことを言うと、やはり引っかかってしまうんですよね。

 

しかし、韻を踏み返すことばかりに意識がいってしまって、その対戦相手の発言の矛盾点等に気付かずにそのまま流してしまうMCも多く、結構モヤモヤが残ることがあります。

 

サイプレス上野やNAIKA MCなどの対話を重視するMCは、そういった見逃しがほとんどなく、安心して観ていられますね。

 

 

 

この日の放送では、Rec1で一度も出番のなかったR-指定が「聖徳太子スタイル」のラップを披露。

 

当時のR-指定はまだまだテレビ慣れしておらず、ステージに上る直前に転んでしまうなど、どこかぎこちなく初々しさがありました。

 

 

Rec2

Rec2-1

 

漢a.k.a.GAMI

青い髪 誰かみたいで毎日だな

―Kiss Shot vs 〇漢a.k.a.GAMI

 

言わずと知れたダンジョン史上に残る名パンチラインです。

 

髪型と髪色がKOHHに似ているKiss Shotを、KOHHの「毎日だな」をサンプリングしながら、痛烈にDIS。

 

ここまでで最も盛り上がったパンチラインでしょう。

 

 

 

 

CHICO CARLITO

 握ったマイクまるで 8mile

グリーンマイル

いや 今 チコカリいざ参る

―〇CHICO CARLITO vs サイプレス上野

 

本当はこのCHICO CARLITO対サイプレス上野の一戦の、CHICO CARLITOの1stバースの全てを書きたかったのですが、長くなりすぎるので一番好きな部分をピックアップさせていただきました。

 

バトルビートがSKI BEATZのコンピ『24 HOUR KARATE SCHOOL』の日本版である、『24 HOUR KARATE SCHOOL JAPAN』の収録曲「24 Bars To Kill」ということで、CHICO CARLITOは同曲の一番手であるANARCHYの「ドラム叩くと躍るおもちゃ」というリリックをサンプリング。

 

 

これだけでも会場は大盛り上がりでしたが、ここから最後までCHICO CARLITO節が炸裂していて、どの部分を切り取ってもパンチラインと呼べるほどに最高のバースをkickしていました。

 

このときの対戦相手のサイプレス上野も多数のパンチラインを放っていた(後述)のですが、それでも1ラウンドでクリティカル負けしてしまいます。

 

それだけCHICO CARLITOのバースが素晴らしかったということです。

 

 

 

サイプレス上野

・・・・・・・・・。

俺の小節の無駄使い

―〇CHICO CARLITO vs サイプレス上野

 

CHICO CARLITOが「24 Bars To Kill」をサンプリングしたのに対し、サイプレス上野は同曲のREMIXの般若のバースをサンプリング。

 

「24 Bars To Kill」は、一人当たり24小節をkickするという形式のマイクリレー楽曲で、公開後多数のラッパーによってREMIXされました。

 

そのいくつもあるREMIXの中でも異色の存在感を放つバースが、般若のこちらのバース。

 

(般若のバースは3:30~)

 

般若のゆる~い適当加減がいい感じに出ているバースですね。

 

このサイプレス上野のサンプリングが放送された当時、これがサンプリングだと気付いている人が結構少なかったのが印象に残っています。

 

サイプレス上野が地でやってもおかしくなさそうなことですから、「これ何かのサンプリングかな?」と疑問に思う人もおらず、原曲を知らなければサンプリングだと知る由もなかったのかもしれませんね。

 

さらに、この直後に“CHICO CARLITO”と“チンコが痒いよ”なんていう小学生のような(褒め言葉です)強烈な韻を踏んでいることも、少し影響しているかもしれません。

 

当記事は、「モンスターの卒業記念」という名目で執筆しましたが、このサンプリングを記事にしたかったということも大きな執筆動機の一つです。

 

サイプレス上野のHIPHOP IQの高さが垣間見えた最高のパンチラインでした。

 

ちなみにサイプレス上野がこの般若のバースをサンプリングしたのは、ダンジョンが初めてではなく、同じく「24 Bars To Kill」のREMIXでサンプリングしたのが先なんです。

 

是非併せてチェックしてみてください。

 

 

 

Rec2-2

 

CHICO CARLITO

決める最強のロン毛とロン毛

それ出来ないなら本でも読んで

―CHICO CARLITO vs 〇R-指定

 

またしても巧みなサンプリングで会場を沸かせるCHICO CARLITO。

 

こちらはチプルソ、PONY、DDS、晋平太によるマイクリレー楽曲「Devil’s tongue」の晋平太のバースのサンプリングです。

 

 

交差する本音と本音 出来なきゃお家で本でも読んで

引用:「Devil’s tongue」/チプルソ,PONY,DDS,晋平太

 

「本音と本音」部分を「ロン毛とロン毛」に改変してのサンプリングですね。

 

バトルビートこそ同曲のものではないですが、審査員席には晋平太が、そしてCHICO CARLITOとR-指定両者ともにロン毛ということで、捻りの効いたサンプリングとなっています。

 

CHICO CARLITOは残念ながらR-指定相手にクリティカル負けしてしまいましたが、このサンプリングを含め独特なフロウから繰り出す多くのパンチラインで、初登場ながら大きな爪痕を残すことに。

 

そして、後のUMB優勝という功績と併せて評価され、新モンスターとしての地位を確立することになりました。

 

 

 

R-指定

4連覇に高まってるぜ

でもそのロン毛は絡まってるぜ

―CHICO CARLITO vs 〇R-指定

 

CHICO CARLITOが出したロン毛というトピックに対してのアンサー。

 

当サイトでは実はこれもサンプリングなんじゃないかと思っています。

 

サンプリング元はUMB2008の般若vsしろくまの般若の「内容もスキルもロン毛も絡まってるぜ」というパンチラインです。

 

R-指定のラインは「ロン毛は絡まってるぜ」というワンフレーズのみですから、もしかしたら考えすぎかもしれません。

 

しかし、歴代最強の王者R-指定ならやりかねないと思い、パンチラインとして選出させていただきました。

追記:過去のRecを振り返る放送回で、R-指定本人がサンプリングであると明言していたようです。情報ありがとうございました。

 

R-指定はこのバトルがダンジョンにおけるデビュー戦で、出番の無かったRec1で相当くすぶっていたのか、持ち前のスキルでCHICO CARLITOを圧倒。

 

また、直前のバースでCHICO CARLITOが噛んだことを、“立ち往生”と表現し、ZeebraとMummy-Dの楽曲 “「末期症状」”で踏み、さらに直前にCHICO CARLITOが使った“チャンピオンロード”で締めるという驚異的なバースもkickしており、どのラインを切り取ってみてもパンチラインと言えるほどの、素晴らしいラップでした。

 

順調に勝ち抜いてきたCHICO CARLITOを相手に、ROUND1でクリティカルヒットを叩きだし、そのデビュー戦を見事勝利で飾ることに。

 

 

Rec2-3

 

R-指定

緑色の服でも 青いケツ

頭は真っ白 目は真っ黒

でも顔面蒼白

―MC ニガリa.k.a赤い稲妻 vs 〇R-指定

 

R-指定の言葉を借りるなら、「座布団一枚」的なラップですね。

 

色にまつわる多彩な慣用表現でニガリの状態を表現しています。

 

“尻が青い”とは未熟であることを意味する慣用句で、“頭が真っ白”や“顔面蒼白”は言わずもがな。

 

“目は真っ黒”に関しては、赤目の対義的な意味で用いているか、“目が黒いうちは~”的な意味で生きていることを表現しているかのどちらかでしょう。

 

このラインはこれで終わりではなく、この後に「ヤバいラップで完全に掌握 お前の心臓」と続きます。

 

これは顔面蒼白と韻を踏んでおり、“心臓”というワードはニガリが出したもの。

 

結果はCHICO CARLITOとのバトルと同様に1ラウンドでクリティカルヒットを叩きだします。

 

 

漢a.k.a.GAMI

口だけ番長なら

一丁前にやってる

―以下全てコンプラ―

 

―HIDE vs 〇漢a.k.a.GAMI

 

これは一つのラウンドが丸々全てコンプラで終わったバトルです。

 

最初の1.5小節以降の全てにコンプラがかかり、漢a.k.a.GAMIのバースのみならずHIDEのバースまでもがコンプラに。

 

両者ともに新宿をレぺゼンするラッパーということもあり、新宿の裏社会の話でも飛び交っていたのでしょうか。

 

こんなにコンプラがかかるのは、あとにも先にもこのバトルだけでしょう。

 

中身が非常に気になるところです。

 

 

焚巻

モンスターかと思ったら 多分

背中にチャックが付いてるタイプ

―〇焚巻 vs サイプレス上野

 

着ぐるみを連想させるユーモラスな比喩表現と、”多分” と “チャック”、そして”タイプ”と続く聴き心地のいい緩いライミングが光るパンチラインです。

 

焚巻といえばダンジョン史上で初めてラスボスに到達したチャレンジャーとして有名ですが、ダンジョン史上で最もクリティカルヒットで勝利した記録を持つMCでもあります。

 

このサイプレス上野との一戦もROUND2でクリティカルヒット。

 

ここから焚巻の快進撃が始まったのです。

 

 

Rec2-4

 

R-指定

早口ラップがお前の得意じゃ

噛んじゃダメじゃん

出番がないからって

ファンが泣いてるわ

―〇焚巻 vs R-指定

 

焚巻の早口ラップに対し、「そんなん俺も出来るわ」と言わんばかりの早口で返すR-指定。

 

早口になれどそのライミングのクオリティは一切落ちないのが流石。

 

長くなるため省略しましたがこの後に、

漢 the a.k.a.GAMI

甲高い声”

神田川

参加型

アンタ方

アンダーグラウンド

と立て続けにライミングしています。

 

二文字以下の細かい韻も合わせると、踏んでいないところを探す方が難しいぐらいのバースでした。

 

Rec2-5

 

焚巻

証言1は まずは俺からやりだす

―焚巻 vs 〇般若

 

言わずもがな「証言」の証言1RINOのサンプリング。

 

ポイントは、焚巻が自ら不利な先行を選んだうえでこのサンプリングをしたということです。

 

後攻を選んでしまったらある意味証言2になってしまいますからね。

 

安直なサンプリングではなく、焚巻の般若との一戦にかける前のめりのやる気が溢れ出た素晴らしいサンプリングと言えるでしょう。

 

 

ちなみに「証言」には“要件1”のリリックで始まるバージョンも存在しますが、そちらはCD版で今回焚巻がサンプリングしたのが、上の動画のアナログ版です。

 

 

般若

四天王を倒した

THE END?これが事件簿

どこ逃げんの?どこ見てんの?

目の前いるのが俺だバカヤロウ

―焚巻 vs 〇般若

 

UMB2008での優勝から、長い沈黙を経てMCバトルの舞台に帰ってきた般若。

 

フリースタイルダンジョンが始まることが判明した当時、多くのヘッズが般若がラスボスであることに、ある種の不安感を抱いていました。

 

全盛期の般若はその圧倒的なバイブスと固い押韻で誰もが認める最強のMCでしたが、既にその強さを失わせるには十分すぎるほど長い時間が流れていたのです。

 

しかし、いざマイクを持てばどうでしょう。

 

その熱量は健在どころか、全盛期を上回る勢いではありませんか。

 

ライミングスキルも遜色なく、相手の韻を拾って踏み返す即興性もあります。

 

たしかに流行りのスタイルではないかもしれません。

 

洒落た言い回しも、長いライミングも出来ません。

 

ただ、般若の目の前ではそんな小手先のスキルなど、般若のバイブスの引き立て役と化すんじゃないか?

 

そう思えるほどの気迫でした。

 

長い沈黙があったからこそ、みんながその沈黙に不安を抱いたからこそ生まれたMCバトル史上に残るベストバウトだったと言えるでしょう。

 

 

1st season Rec3~はこちらの記事から

 

このサンプリング気付いてた?FSD過去のパンチライン1st season②