ラッパーを題材にした漫画が連載開始!

本日5月12日、白泉社が発行している青年向け雑誌『ヤングアニマル』でラッパーを題材にした漫画、『ライミングマン』が連載スタートしました。

 

気になる作者は、あの『デトロイト・メタル・シティ』で一世を風靡した、若杉公徳さん(わかすぎ きみのり)ということで、かなり期待が出来そうな作品となっております。

 

というわけで当サイトでも早速、『ライミングマン』を読んで参りました。

 

 

あらすじ(ネタバレ注意)

「ヨォヨォ これが今朝の“献立”」

「しっかり食えよ“こんだけ”」

 

物語は主人公とその父親が暮らす、院田家(通称 In da house)の朝から始まります。

 

「残ってるな“ミソ汁”」

「それ俺の“みぞ知る”  体のコト考えてんだぞボォーイ」

 

父親のラップに呆れた表情を浮かべる主人公の踏男。

 

「あんだぜ“栄養”」

「叫べよ“エイヨー”」

 

フリースタイルを続ける父親に、普通の口調で返答する踏男。

 

「ちゃんと食べてるし。うるさいよ」

 

 

「ノォーノォー!アンサーカモン!」

 

 

 

「イヤだって言ってんじゃん!!」

 

なおもラップ口調を止めない父親に、ついに踏男の堪忍袋の緒が切れてしまいます。

 

「ちょっとゴハン作ったからって偉そうに。いつも寝てる時間でしょ」

「もう音楽の仕事無いんなら、さっさと別の仕事見つければいいじゃん」

「昔は売れてたのかもしれないけどさ」

 

かつてHIPHOPグループ『MADTANX』のリーダー『SHAKA KING』としてシーンで名を馳せていた父親。

 

今ではその面影もありません。

 

そんな父親にまくし立てるように、きつい言葉を並べる踏男。

 

 

「お・・・よぉ・・・」

 

ド正論にうろたえることしか出来ない父親。

 

「母さんばっか働かせてさ、いつまでニートやる気なの?」

 

 

「よっ・・・よよっ・・・」

 

 

「父親が売れないラッパーなんて人に言えないんだけど」

 

踏男のとどめの一言にショックを隠せない父親。

 

「じゃあ、僕学校だから」

 

踏男はそう言い残し、高校へ行く準備をするために部屋を出ます。

 

 

「昔はノリ良かったんだけどなぁ」

 

独り言を呟きながらスマートフォンを見つめる父親。

 

画面には、B-BOYファッションを身にまとい、ハンドサインをしながら笑っている踏男とのツーショット写真が映っていました。

 

「思春期かよ・・・ラーイ」

 

 

場面は踏男の通う高校へと移ります。

 

(ラップだのヒップホップだの、もうウンザリだ)

 

『――ラップなんてしててもロクなことがない』

 

「踏男、昨日のアメトーク観た?」

 

「観たよ!やっぱいいよね“お笑い”」

「二回も観たよ“おさらい”」

 

『――普段の会話でつい韻を踏んでしまったり』

 

 

(カツラなのに鼻毛、植毛しろ)

先生の見た目を心の中でディスる踏男。

 

『――先生に対してディスが溢れてきてしまったり』

 

 

『――ノートをとる時、ついグラフィティになってしまったり』

 

 

(これもあれも全部、父さんとの十数年にわたる修行のせいだ)

 

そう心の中でつぶやきながら、修行の日々を思い出す踏男。

 

 

「院田くん!数学のプリント当番だよね」

 

休み時間、踏男が密かに思いを寄せる峰岸さんが話しかけてきます。

 

「ちっ、ちがう」

 

踏男は顔を赤くしながらも、素っ気ない反応で会話を終わらせてしてしまいます。

 

 

「ラジオ番組なら『メガネびいき』がおすすめだぜ」

 

友達の山根の呼びかけなんて上の空で、中庭のベンチで考え込む踏男。

 

(ラップでもすれば、もう少し長く話せたのかな)

(いやっ、そんな恥ずかしいこと出来るわけないっ)

(小さい頃は思わなかったけど・・・やっぱりラッパーって頭悪そうだよな・・・)

 

(本当は知識もいるし、頭の回転も速くないと出来ることじゃないんだけど・・・)

 

思春期を迎え、ラップに対する恥ずかしさを感じる一方、いまだにラッパーに対するリスペクトは忘れていない様子です。

 

 

「ヨォ、ここ俺たちのスペースなんだわ」

 

二人の元に同じ高校の不良グループが現れ、踏男を蹴り飛ばします。

 

平謝りしながら、逃げるように校舎へ戻る踏男と友達。

 

「そうさ“冷酷” ここはオレの“帝国”」

「避けて通れよ“定刻”」

 

校舎からこっそり不良グループを見ると、リーダー格の男がフリースタイルをしていました。

 

「あ、あれってラップじゃ・・・」

 

「そうそう。ハイスクールラップバトルだっけ?あの大会で東京で3位らしいよ」

 

驚く踏男に、山根がそう教えます。

 

「たしか名前が・・・MCビガーだ!」

 

 

(ハ、ハイスクールラップバトル・・・)

(全国の高校生がフリースタイルでバトルして、日本一を決める大会・・・)

(僕も父さんに出場しろって言われたことあるけど・・・)

(まさかあんな奴が、東京で3位・・・)

 

 

「・・・だから嫌いなんだよ、ラップ」

 

色々な感情がこみあげ、思ってもいないことを口走り、その場をあとにする踏男。

 

そんな踏男に、LINEのメッセージが届きます。

 

 

場面は病院、LINEは父親からでした。

 

「すまんなぁ踏男。すんげぇギプスだろ」

 

聞くと自転車で転んでしまい、右足を骨折したという父親。

 

「今日仕事だったの?」

 

「イベントに呼ばれてたんだけど、これじゃムリだな」

「まぁ乗り気のしねぇ企画だったからいいんだけど――」

 

「そんな贅沢言えるんだ」

 

そう皮肉を言う踏男に対し、父親は独り言のようにぼやき続けます。

 

「ハイスクールラップバトル出身の高校生とエキシビションでMCバトルって・・・」

「バトルブームかなんか知らねぇが・・・このSHAKA KINGもナメられたものよ・・・」

「確か、お前と同じ位の歳じゃなかったかな・・・ビックだかビガーだか・・・」

 

ビガーという名前に驚いた表情をする踏男。

 

「大人げなくぶっ倒してやるつもりだったけど、高校生相手に逃げたって思われるよなぁ」

「もう一回返り咲きたかったんだけど・・・昔みてぇにスポットライト浴びてぇなぁ・・・」

 

ぼやき続ける父親。もはやその口調は普通のしゃべり口調で、いつものラップ口調ではなくなってしまっています。

 

「父さん・・・もう全く韻踏んでないじゃん」

「じゃ、僕帰るから」

 

 

 

自宅で一人思いつめた表情をしている踏男。

 

突然、思い立ったかのように、部屋の一角に並ぶ『MAD TANX』や『SHAKA KING』のCDやグッズの数々の前に向かいます。

 

そこには、かつてラップが大好きだったころの踏男の写真も飾ってありました。

 

そして、写真の横には『踏』の一文字が刺繍されたキャップも置いてありました。

 

そのキャップはかつて踏男が父親から貰ったもので、踏男のMCネーム『ライミングマン』を文字ったデザインの、世界に一つしかないオリジナルキャップだったのです。

 

 

 

「今日のイベント、もうキャンセルしたの?」

 

電話で父親にそう訊ねる踏男。

 

「あぁ忘れてた・・・もうこんな時間か。シット」

 

「ならさ・・・」

 

「父さんの代わりに今回だけ、僕がバトルに出るよ!!」

 

そして、『SHAKA KING』のTシャツに、『ライミングマン』のオリジナルキャップをかぶった踏男のイラストで、第一話は終了です。

 

個人的な感想

購読決定!次回がかなり気になります!

 

せっかく舞い込んだチャンスを棒に振ることになってしまい落ち込む父親を、その口調の変化で表現したり、日本語ラップが抱える“小っ恥ずかしさ”を、思春期の少年と照らし合わせて表現したりと、話の構成に関しては流石の一言。

 

また、現実世界の日本語ラップシーンに対する風刺や、思わずクスっときてしまうような小ネタもあり、ヘッズへの気配りもしっかりなされている印象です。

 

漫画のような創作物に登場するラッパーは、得てしてライミングスキルに難ありという印象だったのですが、しっかりと固い韻が使われているのも好印象。

 

懸念されるのは、ラップを知らない人にどこまでウケる作品にできるかということですが、まだ第一話ということもあり、それについてはまだまだ未知数ですね。

 

ともかく、ヘッズなら読んでおいて損は無い一作です!

(現実のフリースタイルのネタとしても使われるかも・・・?)

 

皆さんもぜひ読んでみてください。

 

ちなみにヤングアニマルの発売日は毎月第2・第4金曜日となっております。Check it!

 

 

アイキャッチ画像…©白泉社/ヤングアニマル『ライミングマン』/若杉公徳